[被害者]
40代の男性ドライバーの方。
[事故の状況]
営業用車両に乗車し、信号待ちのため停車中、居眠り運転の車にノーブレーキで追突され、頚部及び腰部に傷害を負ったというもの。
[ご相談・ご依頼の内容]
加害者側から「軽微な追突事故であり、追突された際の車両の前方移動も生じておらず(実況見分調書の記載による。)、受傷の可能性がない」として、賠償金の支払いを拒否されている。適正な賠償が得られるよう、交渉してもらいたい。
[傷害結果]
事故直後より頚部捻挫の診断を受け、約6ヶ月間の通院(及び24日の入院)治療を受けて症状固定に至ったものの、左後頚部、左側頚部~左肩胛部の緊張感、疼痛、圧痛、左肩上腕・前腕~中指・環指・小指のシビレ感(知覚障害)、疼痛による左肩関節の動かしにくさ等の障害が残存した。
加害者加入の自賠責保険会社に被害者請求(後遺障害等級認定申請)手続をとったものの非該当の判断がなされ、異議申立て後もその判断が維持された。
[加害者側の当初対応]
当初提示額:なし
受任後提示額:なし(受傷可能性自体に疑義があるとの主張。→不服であるとして訴訟提起)
[主な争点]
・事故態様
・受傷可能性(受傷機転)
・素因減額の適否
・シートベルト付着用による過失相殺の要否
[業務処理結果]
解決額:72万円
処 理:損害賠償請求訴訟提起後の訴訟上の和解
詳 細:
軽微事故において、しばしば受傷可能性に疑義が呈され、受傷の事実自体を争われるケースがあり、本件もそのような事案であった。
事故発生状況を調査中、被害車両のドライブレコーダの映像(当初は存在しないものと考えられていた。)が残っていることが判明し、その内容を確認したところ、後方を撮影した映像にて加害車両が居眠り運転でノーブレーキの状態で追突してきたこと、それにより(実況見分調書の記載に反して)被害車両が1メートル程度前方に移動していることが確認された。
以上の事実を主張・立証したところ、追突による前方移動時の急激な頭部の後・前屈による頚部過伸展によって被害者に傷害が生じたとの心証となり、受傷の事実を前提とし、前記の通りの金額による訴訟上の和解により解決がなされた。
なお、素因減額については、受傷の程度自体がさほど大きくなくこれを認める根拠に乏しいことから被告主張は排斥され、またシートベルト付着用については受傷内容からこの点が損害の拡大に寄与したとは言いがたいとしてこれも排斥された。
警察官関与の元作成される実況見分調書の記載が訴訟では重視されるのが一般的であるが、実際の事故状況を直接裏付ける客観的証拠(動画等)の確認の重要性が再認識された事案であった。
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