2018.11.15 02:49脾臓摘出の損害評価について脾臓の解剖と役割脾臓は、成人の場合、ほぼ手拳大の大きさであり、重量80~120gの最大のリンパ組織であって、主に細網内皮の組織としての活動、すなわち血球の産生、細胞や異物の破壊処分等を通じて、血液のフィルターとしての異常赤血球や老化赤血球、その他の異物の除去、血小板の貯蔵器官としての機能を担っているとされる。なお、従来は脾臓は、「摘出(=脾摘ないし摘脾)を行っても、肝、リンパ節、骨髄などの細網内皮系が機能を代償するために、著明な脱落症状は残さず、生命には支障を来さない」とされていたが、その一方で、脾摘後に、明らかな感染巣を認めないのに術後38度前後の発熱が持続することがあり、免疫能の異常に起因すると考えられる旨が指摘されるようになった(特に、4、5歳以...
2015.04.15 03:25【判例評釈】後遺障害が残存しない事案において後遺障害診断書取得費用が損害として認容された事例【交通事故判例速報】(原 審)神戸地方裁判所 平成26年6月25判決(同庁・平成25年(ワ)第467号 損害賠償請求事件)(控訴審)大阪高等裁判所 平成26年11月21日判決(同庁・平成26年(ネ)第2088号、第2473号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件)以下は、交通春秋社刊【交通事故判例速報】(No.586)に掲載された以下の判例評釈の内容をウェブサイト用に再構成したものです。後遺障害が残存しない事案において後遺障害診断書取得費用が損害として認容された事例1 事案の概要事故日時 平成21年9月24日 午後9時10分ころ発生場所 神戸市西区の片側1車線の対面通行道路上原告車両 X1(夫)運転、X2(妻)同乗の普通乗用自動車(「X車」)被告車両 Yの普通乗用自動車(「Y...
2014.02.16 05:30【判例評釈】不当請求事案における弁護士のあるべき対応【交通事故判例速報】(原 審)神戸地方裁判所 尼崎支部 平成25年3月5日判決(同庁・平成23年(ワ)第1492号)(控訴審)大阪高等裁判所 平成25年8月27日判決(同庁・平成25年(ネ)第1697号)以下は、交通春秋社刊【交通事故判例速報】(No.572)に掲載された以下の判例評釈の内容をウェブサイト用に再構成したものです。駐車場内で発生した極めて軽微な接触事故について債務不存在確認請求が認容され、反訴請求が棄却された事例に見られる諸問題(控訴審での反訴提起と「相手方の同意」、事故直後の弁護士対応の相当性等)1 事案の概要事故日時 平成23年11月10日 午後2時15分発生場所 コンビニエンスストア駐車場内原告車両 X1(タクシー会社)所有、X2運転のタクシー車両(「...
2013.02.15 06:15【判例評釈】高度後遺障害残存事案での賠償請求における諸問題【交通事故判例速報】神戸地方裁判所 平成22年(ワ)第418号以下は、交通春秋社刊【交通事故判例速報】(No.560)に掲載された以下の判例評釈の内容をウェブサイト用に再構成したものです。高度後遺障害残存事案での賠償請求における諸問題【事案の概要】本件事故は、信号による交通整理の行われている交差点で加害車両が赤信号を見落として交差点内に進入して被害車両と衝突したというものであり、加害者側の一方的過失による事故であることは明らかであった。もっとも、これにより被害者には頸(頚)髄損傷(第5/6頸椎脱臼骨折)による体幹及び両下肢麻痺、両上肢不全麻痺、発汗障害による体温調節障害等の重篤な後遺障害が残存したという事案である(なお、頚髄損傷による四肢麻痺につき、自賠責保険の後遺障害等...
2012.01.16 07:19【判例評釈】てんかん発作に起因する事故と交通事故訴訟における責任の評価について【交通事故判例速報】神戸地方裁判所 平成23年11月30日判決(平成23年(ワ)第445号)以下は、交通春秋社刊【交通事故判例速報】(No.547)に掲載された以下の判例評釈の内容をウェブサイト用に再構成したものです。てんかん発作に起因する事故と交通事故訴訟における責任の評価について平成23年4月に栃木県鹿沼市、島根県松江市で相次いで発生した悲惨な交通事故の報道等を契機に、てんかん発作に起因すると思われる重大な事故が注目されるようになってきた。この点、てんかん及びそれに基づく症状については、交通事故賠償の場面では受傷した被害者の後遺障害の内容(外傷性てんかん)としてしばしば問題となるが、てんかん発作による意識障害・運動障害が事故につながったケースについては全く別の側面から...
2011.06.15 06:57【判例評釈】複合局所疼痛症候群(CRPS)ないし反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)が認められた事案【交通春秋社判例速報】神戸地方裁判所 平成22年12月7日判決(平成20年(ワ)第3026号)以下は、交通春秋社刊【交通事故判例速報】(No.540)に掲載された以下の判例評釈の内容をウェブサイト用に再構成したものです。自賠責保険の後遺障害等級認定において「局部に頑固な神経症状を残すもの」(別表第二第12級13号)との認定を受けた事故当時26歳の被害者(女性)につき、複合局所疼痛症候群(CRPS)ないし反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)様の症状が存すること等を理由に同等級10級に該当する程度の後遺障害の残存が認められた事例1 事案の概要本件事案の概要は以下のとおりである。①平成17年4月7日、Y運転の普通乗用自動車が交差点において右折中、右折先横断歩道手前で同じく右折...