9月25日(火)、大阪弁護士会で行われた研修会『民事調停の上手な活用法』にパネリストとして登壇しました。
私は現に民事調停官(非常勤裁判官)をしている弁護士として呼んでいただきましたが、ほかにも民事調停官経験者や元大阪地方裁判所所長(現大阪調停協会会長)の方も出席されるなど、しっかりと充実した議論がなされました。
特に、調停手続利用の際の申立て側、裁判所(調停委員会側)のテクニックや工夫が取り上げられたのは良かったと思います。
例えば、
・請負代金請求の申立てでも、「代金○○円を支払え」という趣旨の申立てにするのではなく、「請負契約の代金支払いに関して、円満な解決を求める」申立ての形とすることで、相手方の受ける印象をソフトにすることができ、調停による解決がしやすくなること
・不動産の賃料額の鑑定を依頼すると高額の費用がかかるが、調停で不動産鑑定士の調停委員の意見を聞く形であれば、費用負担を低くし、かつ短い時間での解決が図られること
など、でしょうか。
また大阪では、調停が不成立となった場合にも、そこまでの争点整理の結果を当事者あるいは調停委員会作成の書面として残し、不成立調書に添付することで手続が無駄にならないようにする、現地調停を活用し、実効的で当事者にも納得感のある調停運営を行うといった工夫もされているそうで、これは神戸の調停手続でも取り入れていきたい運用だと感じました。
正直なところ、最近の民事調停利用件数の低下は深刻なものがあり、その一因として、司法修習の短期化のために調停制度の使い勝手の良さが新人弁護士や司法修習生の方々に伝わりにくくなっている部分があるように感じます。
若手の弁護士の方にも多数ご来場頂いたので、調停制度のよさを少しは伝えることができたのではないかと思います。
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