脾臓摘出の事案(13級11号)で訴訟上の和解により大幅増額が得られた事案[20代・男性医師]


[被害者]

20代の男性医師の方。


[事故の状況]

バイクに乗車し、青信号に従って交差点を直進しようとしたところ、対向四輪車が右折してきたためこれに衝突して投げ出され、重大な傷害を負ったというもの。


[ご相談・ご依頼の内容]

自賠責保険の認定内容(「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」、別表第二第13級11号、労働能力喪失率:9%)が事故後の就労の内容と合っておらず、また相手方損害保険会社主張の過失割合(被害者:加害者=10:90)にも納得がいかないので、交渉を依頼したい。


[傷害結果]

事故により両側肺挫傷、両側血気胸、肝損傷、脾損傷、出血性ショック等の重篤な傷害を被り、約1年半の治療を経て症状固定に至ったものの、脾損傷、肝損傷、胸部痛、胸腹部の手術痕等、腹部違和感・掻痒感・疼痛等の後遺障害が残存することとなった


[加害者側の当初対応]

当初提示額:なし

受任後提示額:1154万円(→不服であるとして訴訟提起)


[主な争点]

・後遺障害の評価(労働能力喪失率)

・後遺障害に基づく損害額(逸失利益・慰謝料)

・過失割合


[業務処理結果]

解決額:2346万円

処 理:損害賠償請求訴訟提起後の訴訟上の和解

詳 細:

傷害・後遺障害の内容や自賠責保険の等級認定(別表第二第13級11号)自体については争いがなかったものの、現実の医師としての就労に生じる支障(労働能力喪失の程度)に関して、自賠責保険の認定(9%)との間に大きな乖離があったケースである(被害者(原告)は15%の労働能力喪失を主張)。

特に、免疫等の機能を有する脾臓を摘出することにより感染予防機能が低下するおそれが指摘されており、脾摘者について、感冒等に罹患した場合の死亡率が高いとの統計資料が存することが指摘されている(上記のような事実を指摘し、脾臓摘出による労働能力喪失を認める近時の裁判例として、大阪地方裁判所平成25年8月29日判決、千葉地方裁判所平成25年8月27日判決、京都地方裁判所平成25年2月14日判決等がある。)。

以上のような事例・事実を鋭意主張することにより、訴訟上の和解によって示談交渉時の提示額から1192万円の大きな増額が得られた事案である。

Website弁護士中村真

神戸の弁護士・中小企業診断士の中村真(なかむらまこと)は交通事故案件、中小企業支援、事業再生・事業承継、税務争訟、相続案件等に注力しています。